『ランパート』(RAMPART)はアタリゲームズおよびテンゲンが1990年に北米でリリースしたアーケードゲーム。
タワーディフェンスの原型となった名作で、家庭用ゲーム機ではAtari ST、Amiga、Macintosh、Super Nintendo Entertainment System(海外版スーパーファミコン)、セガ・マスターシステム、携帯用ゲーム機ではAtari Lynx、ゲームボーイ、ゲームボーイカラーでそれぞれ移植されている。
日本では、1991年4月26日にナムコからアーケード版が、1991年11月29日にコナミからファミリーコンピュータ版が、1992年10月30日にジャレコからゲームボーイ版が、1992年12月11日にテンゲンからメガドライブ版が、それぞれ発売されている。また、2006年9月21日にサクセスから発売されたプレイステーション2用ソフト「ゲーセンUSA ミッドウェイアーケードトレジャーズ」に収録された。
2007年には北米のプレイステーションストアでプレイステーション3版がダウンロード販売開始された(日本では未発売)。
システム[]
パズルゲームやシューティングゲームの要素を持った独特のシミュレーションゲームで、ゲームは配置・戦闘・城壁修復の3種類のパートに分かれる。それぞれのパートは一定時間の経過で自動的に次のパートに移る。
まずゲーム開始前に、マップ上に設置されている城を1つ選択する。すると、周りに城壁ができて自分の陣地になる。場合によっては複数の城が設置されるが、城壁に囲まれるのは1つ目の城のみ。
配置パートでは、陣地内に砲台を配置する。配置が終了すると戦闘パートに移る。
戦闘パートでは、城壁の破壊しようとする敵に照準を合わせて砲台の弾で攻撃する。城壁修理パート用の小さい敵は動かず、攻撃して倒すことも可能。制限時間が経過すると城壁修理パートに移る。
城壁修理パートでは、ランダムで現れる様々な形(L字型、逆L型、S字型、棒型、四角型など)の城壁を設置していく。城壁で囲まれた内側は自分の陣地になる。壁は自分の城の陣地とつながっている必要はなく自由に置ける。敵は行動しないが、壁の設置の障害となる小さい敵が現れる。敵は陣地内で包囲することでも倒せる。また、制限時間内に城をひとつでもいいので陣地内にあるようにしなければ、終了時に即敗北となる。また砲台は陣地内に配置しておかなければ、戦闘パートで機能しない(使えない)。制限時間が経過すると配置パートに移る。
予め設定された勝利条件を満たすこと、又は一定条件下で勝利できなかった場合、そのゲームは終了する。
なお城壁は砲撃1発で壊せるが、城と砲台は相当量の砲撃を行わなければ壊す事ができず、時間の無駄になる事が多いので狙われる例は極めて少ない。
対戦プレイでは、海を隔てた同マップ内の相手プレイヤーの城壁を攻撃することになる。勝利条件は「対戦プレイヤーを3回敗北させる事」で、規定ターンを過ぎても生存者がいた場合は最終戦闘パート「ファイナルバトル」が行われ、配置パート後にまだ複数の生存者がいた場合、生存者の中で最高のスコアを掌握している者が勝者となり、ゲームオーバーとなる。対戦人数が多いほどマップ自体が狭くなり、配置パートにランダムで振り分けられる城壁パーツが時間経過と共に複雑化するので、後半に差しかかるほど復旧が難しくなる。このため「相手が城壁を楽に復旧できないよう砲撃する」「楽に復旧できるよう不要な城壁を自身で削る」「配置が楽に済むよう障害物を避けて城塞を建てる」「巴戦の場合、双方から攻撃されないようスコアが突出しない程度のバランスで自陣を展開する」など様々な戦術を考慮に入れた上で、20秒程度の戦闘・配置パートを上手く進める事になる。また「2回までは敗北できる」「敗北した場合、以前の自身の建造物はすべてクリアランスされる」事を利用して、飽和状態に陥った領地を強行拡大してスコアを稼いで敗北、建物をクリアランスさせて再復興するタイミング(所謂「落ち時」)を計る事も重要となり、熟練プレイヤー同士の対戦では極めて高い水準での観察・判断・駆け引きが要求される。
これらシンプルにして深い要素に魅了されたプレイヤー達が1990年当時はアメリカのショッピングモール街で、2000年代~現在ではヨーロッパを中心に対戦会を開いている他、後続作品と言えるタワーディフェンスも根強い人気を誇る。またリアルタイムストラテジーの世界的大作にして、ユーザーが独自のルールを持ったゲームマップを製作できるスタークラフトやウォークラフトでもタワーディフェンス系統のマップが数多く製作されているなど、後世に残している影響力は計り知れないが、日本での知名度はあまり高くない。
移植[]
ファミリーコンピュータ版[]
1人プレイと2人対戦プレイがある。1人プレイにはPRACTICE、EASY、NORMAL、HARDの4種類のモードがあり、それぞれにストーリーが付いている。PRACTICEでは面セレクトが可能で、EASY、NORMAL、HARDに関してはパスワードがある。
PRACTICEはマッサーカー長官[1]の下で戦う近代戦争風で、敵は戦車と歩兵。
EASYは赤ずきんの女の子エリーがボーイフレンドのタムと共におばあさんの家に行く童話風で、敵はオオカミやネズミなど。
NORMALはスルトと戦ったフレイアの息子チューリッヒが聖騎士レギンらを率いて、ニドヘグの眠りを覚まそうと企むスルトと戦う北欧神話を題材にしたファンタジー風で、敵は様々な魔物。
HARDは織田信長が戦う戦国時代風となっている。
プレイステーション3版[]
アーケード版を踏襲しながら、ネットワーク4人対戦などの追加要素が加わっている。
脚注[]
- ↑ マッカーサーではない。
テンプレート:Video-game-stub
de:Rampart